2011-3-11 を忘れない

東京電力福島第1原発事故損害賠償請求権「時効10年」の延長を求める動き

原発賠償 迫る「時効10年」 自治体、国へ延長要求検討

南相馬市が作成したパンフレット(左)と被災者宛ての案内文。市は待ちの姿勢を転換させる

 東京電力福島第1原発事故に伴い生じた損害賠償請求権が、事故から10年となる2021年3月を境に順次時効を迎える。さまざまな事情で請求権を行使していない被害者は多く、関係自治体は「このままでは多くの人が救済されない」と懸念。時効延長を求める動きも出ている。(福島総局・斉藤隼人)

東電によると(1)全く請求していない(2)当面の生活資金とされる仮払金のみ請求し本賠償を受け取っていない-などの未請求者は6月末現在で計815人。賠償分野は多岐にわたり、一度支払いを受けた人も別の損害で請求できることがあるため、請求権を持つ被害者はさらに増える。
事故当時の人口が約7万だった南相馬市では、昨秋時点で419人が未請求だった。病気や高齢のため請求が困難なケースがあるほか「仮払金を受け取った後に正式な賠償を請求できるとは思わなかった」と話す被害者もいたという。
市被災者支援課長補佐の金子宰慶(ただちか)弁護士は「後から枠組みができた賠償ほど周知が行き届かず、請求可能だと知られていない」と指摘。市は本年度、被害者からの相談を待つ従来の態勢を見直し、戸別訪問するなど積極的なアプローチを図る。
賠償の分野別では、自宅の購入や修繕、解体費用などを対象とする「住居確保損害」が今後の生活再建や帰還意欲に密接に関わるとみられる。
2017年3月に避難指示が一部解除された福島県浪江町の鈴木清水賠償支援係長は「これから帰還しようとする人が(時効で)賠償請求できない事態になってはならない」と強調。町内に居住しているのは約1000人と事故前の5%にとどまり「他の被災自治体と連携し、時効延長を国に求めたい」と語る。
原発事故の損害賠償を巡っては、各自治体や福島県弁護士会が相談窓口を設けている。同弁護士会の連絡先は024(533)7770。

[東京電力福島第1原発事故の損害賠償請求権]2013年12月成立の特例法で時効が民法上の3年から10年に延長された。「損害を知った時」から計算するため、時効の成立時期は損害の内容や個別事情によって異なる。事故後しばらくたって健康被害が出た場合などを想定し、請求権が消滅する除斥期間も「事故から20年」が「損害が生じてから20年」に変更されている。河北新報2019年08月05日

原発賠償 「潜在的被害ある」日弁連、延長必要性周知へ

原発賠償の有識者によるシンポジウム=7月27日、東京都内

 東京電力福島第1原発事故の損害賠償を巡り、日弁連は賠償請求権の時効期間を現行の10年から20年に再延長するための立法措置を国に要望する方向で検討を始めた。未請求の被害者が今なお多い被災地の現状を考慮した。7月27日には東京都内で「原発賠償シンポジウム」を開き、今後も時効再延長の必要性を広く知らせていく考えだ。
日弁連は、3年の時効を10年に延長するための特別措置法を制定するよう求める意見書を2013年7月に国へ提出。同12月に国会で法案が可決された経緯がある。今回も意見書提出に向けて理論的課題の解消を図るとともに、被災自治体との連携を模索する。
シンポジウムでは、弁護士や大学教授らが時効の再延長に関して議論。日弁連の小池達哉副会長は「事故から間もなく10年を迎えるが、潜在的な被害はまだまだある」と述べた。
東電への賠償請求は、主に(1)直接請求(2)裁判外紛争解決手続き(ADR)の申し立て(3)訴訟提起-の三つの方法がある。うち全国で約1万2000人が提起した30件弱の集団訴訟はいずれも判決が確定していない。
東京弁護士会の大森秀昭弁護士は「司法が東電の賠償をどう判断するか非常に重要な時期に来ており、判決を踏まえて請求に踏み切る人も多いだろう。そうした状況下での時効成立は認められない」と指摘した。
迅速な解決を掲げるADRも、長期化や協議打ち切りが目立つ。福島県弁護士会の渡辺真也弁護士は「ADRは当初の想定より時間がかかり、協議の決裂後に提訴する場合は時効まで残り2年弱しかないのが実情だ」と説明した。河北新報2019年08月05日

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コメント 1 件

ポエム より:

7月16日、仙台高裁で福島原発避難者訴訟の原告尋問を傍聴しました。原告の方の訴えは故郷を失った言葉では言い表せない喪失感と向き合いながら、事故後の8年間の生活の様子を語っておられました。その中で、年数が経てば経つほど昔のような住民とのつながりをつくることは難しく、故郷へ帰るか、帰らないか、つらい判断に迫られているとおっしゃっていました。こういう状況ですから、東電の賠償は期限を切って行うのではなく、一人一人違う状況に合わせて、最後の一人まできちんと行うべきだと思います。それが責任の取り方だと思います。被災者の苦しみに寄り添うとはそういう事ではないでしょうか。

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