2011-3-11 を忘れない

災害公営住宅、家賃増で子育て世代は住み続けられない

災害公営住宅の家賃増で子育て世代の退去相次ぐ 低所得向け「制度の限界」

高齢女性(手前)に体調などを尋ねる大山さん(中央)ら=仙台市太白区のあすと長町市営住宅

 子育て世代の退去が相次ぎ、残る高齢者はコミュニティーの維持に不安を募らせる-。収入超過世帯を巡る問題は、多様な事情を抱える被災者に対し、低所得者向けの公営住宅のルールで対応した「制度の限界」が背景にある。
仙台市内の災害公営住宅の町内会長によると、5月に収入超過世帯の5人家族が退去した。「蓄えもないのに、11万円の家賃は払えない」。周囲には、子どもは数キロ離れた転居先から元の小学校にバスで通うと漏らしていたという。
 他にも4月以降に多賀城市で5世帯、松島町で1世帯が早くも退去した。
仙台市太白区のあすと長町市営住宅では女性10人が「見守り隊」を結成し、月2回、高齢単身の約50世帯を巡回する。大山葉子さん(71)は「隊員のうち9人は70代で『老老介護』のよう。若い世代が退去し、高齢者だけが取り残されれば見守りは難しくなる」と不安を口にする。
公営住宅はそもそも低所得世帯向けで、被災した子育て世代や共働き世帯の活用を想定していない。一部自治体は独自の家賃減免策を講じたものの、当面の「人口流出防止策」の側面が強い。減免期間が終われば、再び支援にばらつきが生じる可能性がある。
「欠陥」を補うため、宮城県には統一した支援策を示すなどリーダーシップが求められたが、「やる気がなかった」(沿岸自治体の担当者)という。
自身も災害公営住宅に暮らす宮城野区の鶴ケ谷6丁目中央町内会長の松谷幸男さん(66)は「首長の姿勢によって被災者に格差が生じていいのか。公営住宅のルールに被災者を当てはめることにそもそも無理があった」と指摘。被災者が入居を継続できる新たな法整備を訴える。(報道部・高橋鉄男)河北新報2019年07月26日

 

<災害公営住宅>宮城県7市町 「収入超過」206世帯で家賃増

 東日本大震災の被災者が暮らす宮城県内の災害公営住宅で、本年度に家賃が割り増しされた入居4年目以降の収入超過世帯が7市町で計206世帯に上ることが、各自治体への取材で分かった。対象は前年度の4市町、計43世帯から約5倍に膨らんだ。都市部や郡部を含めて家賃が10万円を超える世帯があり、退去する動きが表面化している。

仙台、多賀城、登米、大崎、松島、大郷、美里各市町の4月時点の収入超過世帯数と家賃の最高額は表の通り。最多は仙台市の176世帯、最高額は青葉区の通町市営住宅の15万9900円だった。
家賃が10万円を超えたのは、仙台市32世帯、登米市2世帯、多賀城市と大郷、美里町各1世帯の計37世帯。収入増となった子育て世帯が中心とみられ、登米市で約6万6000円から約13万4000円、多賀城市で約2万9000円から約9万7000円と、2~3倍に跳ね上がったケースもあった。
都市部に限らず、郡部でも家賃の割増幅が大きくなった。収入超過世帯の家賃は立地や建物の建設費が反映され、震災後の建設費高騰も影響した。
県内では12自治体が一定期間の家賃減免策を講じたものの、7市町と栗原市と利府町の計9市町は実施していない。被災3県では岩手、福島が県として支援策を講じている。宮城県は指針を示さなかったため各自治体の足並みがそろわず、被災者間で不公平感が広がっている。
宮城県によると、減免策を講じた12自治体でも減免期間が切れれば、最終的に県内全入居世帯(5月末で約1万5000世帯)の約1割に当たる1380世帯が収入超過の対象となる可能性がある。内訳は石巻市492世帯、気仙沼市199世帯、仙台市188世帯など。
多賀城市は「民間物件が豊富にあり、住宅の確保は可能」と説明。宮城県住宅課は「地域の事情が異なり、県として一律にするのは難しい」と釈明した。

[収入超過世帯]公営住宅法では入居3年後に所得月額が15万8000円を超えると「収入超過世帯」と認定。住宅明け渡しの努力義務が生じ、4年目以降は収入に応じて段階的に家賃が引き上げられる。河北新報2019年07月26日

トラックバック・ピンバックはありません

ご自分のサイトからトラックバックを送ることができます。

コメントをどうぞ